東学寺の枝垂れ桜
桜の名所、小田原市田島の剱沢川からJR御殿場線の跨線橋を渡って少し歩くと東学寺(東学禅寺)の山門前に着く。臨済宗建長寺派のお寺で剱沢川の桜と同時期に境内の枝垂れ桜が満開になる。
その姿と色の見事さには毎年思わず声が出る。天候や時間帯によって薄桃色の花の色が刻々と変化するので、恐らく何回見ても飽きない。
今年も4月初め、剱沢川の桜見の帰りに境内にお邪魔した。晴れた日の午前で、枝垂れ桜は活き活きと清々しい。
昨年は雲の晴れ間から桜が日差しを浴びて美しいグラデーションが見られた。今年は午前中の陽射しを浴びて樹全体がみずみずしく輝いている。
御本尊と寅薬師
さて、東学寺の御本尊は本堂に置かれた釈迦如来像で、釈迦の生前の姿を写した珍しい清凉寺式釈迦如来立像(南北朝から室町時代にかけて製作)として県の文化財に指定されている。
上のページからお姿を写させていただいた。
境内には薬師堂があり、明治初期に廃寺となった東光寺から移された薬師如来像が祀られている。
この仏さまは「寅薬師(寅薬師瑠璃光如来)」と呼ばれ、関東九十一薬師霊場の第二十六番札所に指定されている。寅薬師如来本尊は秘仏で3年に一度の御開帳の時に拝観できるが、昨年は寅年だったので、盛大に大祭が行われたようだ。
薬師堂に寅薬師の「切絵御朱印」の見本が飾られていて、初めて姿を拝見したが、親しみのある素朴な像で好きになった。この寺は御本尊も寅薬師も個性的で面白い。寅薬師如来の本尊御前立は如何にも仏像らしい姿で、寅薬師と併せて描写させていただいた。
社務所にお邪魔して御朱印をいただく。寅薬師と釈迦如来の切絵御朱印もここで手に入るが、リンク先の東学寺納経事務局でも購入できるようだ。
※寅薬師の画はリンク先に掲載されていた画像を元に描かせていただきました。
「寅薬師」という名前の薬師如来は全国にある。名前の由来は阿弥陀如来が「西方極楽浄土の教主」とされるように、薬師如来は「東方瑠璃光浄土の教主」で、東の方角が十二支の寅にあたるためらしい。ただ、東の方角は正確には卯なのになぜ寅なのかは謎である。
薬師如来は病気平癒、安産祈願、特に眼病に霊験があるとされている。
加えて薬師如来を主仏とする薬師三尊像は、日光菩薩と月光菩薩というよく知られた仏さまを脇仏とし、更に伐折羅(バザラ)大将などの強そうな十二神将を眷属として従えていることを知り、改めて薬師如来がエライ仏様のであると再認識したのだった。
長文お読みいただきありがとうございました。
後半は仏様の話になりましたが、桜の記事は多分これで今年最後になります。今年も美しい桜が見られて感謝です!
⇩ 今年の桜の記事
来年も見られるといいですね。
さだまさし「桃花源」を聴きながら