厚労省ホームページより引用
マイナ保険証についての意見です。書いているうちに長くなってしまいました。
要約
■ 健康保険証の廃止、マイナ保険証との一本化は今年12月に迫っているが、国民は反対意見のほうが多い。
■ 保険証廃止という手段でマイナンバーカードを実質的に強制するやり方には怒りを覚えるし、紐づけの誤りや見切り発車によるシステムバグが多数発生、使い勝手も悪く受付が混乱。医療利用者への配慮が乏しい。
■ 政府や与野党は国民の声を受け止めマイナ保険証一本化の実施延期と国民目線の対応を検討すべき。国民も声を上げる必要がある。政策決定のあり方についても議論が必要。
マイナ保険証の低い利用率
今年の12月に健康保険証が廃止され、マイナ保険証と一体化されることが法律で既に決まっている。
😡 こんな乱暴な法案に賛成した政党は自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党である。自分は保守寄りの人間であるがこのこと忘れまい。
しかし、マイナ保険証の利用率は今年1月のデータ(厚労省調査)で4.6%しかない。しかも低下傾向にあるらしい。
マイナ保険証利用率 最も高い県で8.4% 保険証廃止へ普及急ぐ | NHK | マイナンバー
このため厚労省は「普及の促進」に躍起になっているが、国民を啓蒙対象と見るよりも、マイナ保険証がなぜこんなに嫌われているか考えるべきだろう。
河野大臣の強引な保険証廃止
マイナンバーカードの普及のために、行政のIT化の名目で保険証廃止という暴挙を進めたのは岸田首相の意を受けた河野太郎氏だ。
河野氏のツイッターは面白くて自分も一時フォローしていた。しかし、先日、「マイナ保険証に反対するのは一部のイデオロギーを持った人」と発言された記事を見て、浅慮の人だと失望した。
小泉進次郎氏が「地頭が悪い」と言われて話題を呼んだが、リスクの高いライドシェアを推し進める菅氏、ポエムの進次郎氏、思い付きだけの河野氏という神奈川3〇〇トリオは、県民としてとても恥ずかしい。
マイナ保険証に反対する理由
自分がマイナ保険証に反対するのは、次の理由からだ。
✅ 保険証廃止という乱暴な方法で、保有義務のないマイナンバーカードを実質的に強制するやり方。
⇨ マイナンバーカード普及ありきで国民の負担や利便性を考慮しない
✅ センシティブ情報の入ったマイナンバーカードを不必要に携帯することの危険
⇨ そもそもマイナンバーカードは頻繁に持ち出すものではなかったはず
✅ 紐づけの誤りやシステムバグが多数発生
⇨ 健康保険証との紐づけは手入力、システムの見切り発車のため、正確な情報に合致しない事例が多数発生し、信頼性に劣る。
【記者会見6.21】10000医療機関が回答 マイナ保険証 トラブルが止まらない – 全国保険医団体連合会
✅ マイナ保険証の受付窓口手続きが煩雑
⇨ 毎回、顔認証付カードリーダーにMNカードを挿入、顔認証又は暗証番号の入力(横から覗けるらしい)等が必要で時間がかかるほか、システムエラー、システム保守で使用できない可能性もある。当面診察券の提出も必要。
健康保険証であれば診察券と健康保険証(月1回だけ)を受付に手渡せば済む。
✅ システムの不具合、不十分で、医者にかかることが多い高齢者には非常に使いにくい。基本本人がアクセスするシステムなので、病人、介護現場や発熱外来が困惑。医療利用者への配慮に欠ける。
✅ 診療時に毎回マイナンバーカードの持参、受付が必要
⇨ 健康保険証は月1回で良い
✅ 受付窓口が混雑する
⇨ 上記手続きの煩雑化により時間がかかる。高齢者には面倒な仕組みであり今以上に受付窓口が混雑するのは目に見えている。
✅ マイナンバーカードは市町村窓口に出かけて5年ごとに更新手続きが必要。
⇨ 従来保険証は更新時期に自動的に送られてくるが、マイナンバーカードをマイナ保険証として使う場合は5年ごとに市町村窓口に出かけて更新が必要。(スマホで更新できるのは10年ごとの更新手続きだけ)
使用してみれば更に欠点があるのだろうし、逆に意外なメリットもあるかもしれないが、そもそも独裁国家のように強権的な手法に従うのには大きな抵抗を感じる。
なお、公平を期すために、国がよく言っているマイナ保険証のメリットは、次のとおり。
- 医療費を20円節約できる
- 顔認証で受付を自動化
- 過去の医療、薬剤情報の医療機関の共有
- 高額療養費の手続きが不要
医療費節約は利用促進のための施策で手前味噌だし、マイナンバーカードの受付は自動化(システム化)されるが、現在より手間、時間がかかり、現状診察券の提出も必要。誤解させること甚だしい。国がこんないい加減な記載をしていいの?
医療情報の共有は実際のところ現場の医師がどこまで役立てるか疑問だ。高額療養費の手続きが不要なのは便利だが、医療情報の共有を含めて、そもそも健康保険証を電子化すれば済むことではなかったか?
マイナ保険証に関する国民の意識
他の人はどうかと思い、マイナ保険証に関する意識調査について検索してみた。
まず推進する立場の厚労省実施の調査(2024.2)では、
マイナ保険証について、(多少でもを含めて)「利用したい」が37%。
※質問は健康保険証廃止には触れていない
厚労省資料 https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001217026.pdf より引用
三菱総研の調査(2023.9)では、
マイナ保険証について、(どちらかと言えばを含めて)賛成、反対が各50%と割れている。
1万人調査に見るマイナ保険証への賛否普及のカギは「ベネフィット」の実感 | 三菱総合研究所(MRI) より引用
ヤフー子会社の紀尾井戦略研究所のオンライン調査(2023.7)では
健康保険証廃止について
- 賛成26.6%、反対51.4%。
今年12月のマイナ保険証一本化について
- 賛成18.9%
- 賛成だが時期を延期すべき21.1%
- マイナ保険証一体化自体に反対28.8%
- マイナ保険証やマイナンバー制度自体に反対16.7%
と否定的な意見が多い。
マイナ保険証一本化「賛成だが時期延期を」21% - 紀尾井町戦略研究所株式会社 より引用
まとめると、マイナ保険証自体は使用したい、賛成が4割〜5割あるが、健康保険証の廃止、マイナ保険証への一本化については反対や延期を望む意見が多数のようだ。
まず12月実施の延期を!
菅政権では東京オリンピック、岸田政権では安倍氏の国葬など国民の意思に反して政策強行されることが多くなった。
国民も過ぎてしまえば忘れがちである。ただ、上記のような一度だけのイベントと違い、マイナ保険証は日常生活に関わる問題だけに忘れ去られるものではあるまい。
政府や与野党はマイナ保険証に消極的な国民の意識を真摯に受け止め、今年12月の廃止を延期し、健康保険証の廃止について見直しの議論を始めるべきである。
マスコミも献金裏金ばかり報道せず、健康保険証廃止とマイナ保険証一体化について、見直しの視点からの記事を書くべきだ。
このままでは12月には自動的に実施されてしまうので、国民も大きな声を上げるべきではないか。
政策決定のあり方
加えて、政党と国民の意識の著しい乖離に関しては、今の代議制、政党政治、政策決定のあり方について冷静かつ深い議論が必要だと思う。