冬はつとめて(早朝)
冬は、つとめて。雪の降りたるは、いふべきにもあらず。霜のいと白きも、また、さらでもいと寒きに、火などいそぎおこして、炭もてわたるも、いとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も、白き灰がちになりて、わろし。
(現代語訳)
「冬は早朝が良い。雪が降っている早朝は、言うまでもない。
霜が真っ白におりた朝も、そうでなくてもとても寒い早朝に、火を急いで熾して炭を配って回るのも、冬の朝に大変似つかわしい。
しかし、昼になって寒さがだんだん緩んでいき、火桶の火が白い灰になってしまっているのは興ざめである。」
早朝の寒さ厳しい中、宮中の女房が火桶に使う炭火を慌ただしく配り回る様子が書ければいいのだが、画力がないので火桶と女房さんの後ろ姿にした。
冬の早朝の凛とした冷気を描きたかったのだが、説明的な絵になってしまい、付け足した山茶花?が余計だったかも😢。
大河ドラマ「光る君へ」でも描かれているように、平安時代の寝殿造の屋敷にはほとんど壁がなかったらしい。冬は寒いだろうに、火桶一つでどうやって暖をとったのだろう。
貴族でさえそうなのだから、貧しい庶民の暮らしは想像を絶する。
現代人などは貴族の屋敷でさえ、恐らく1日で肺炎になってしまうのでは?
医学は発達していないので平均寿命は短かったにせよ、衛生状態も悪いそんな暮らしの中を生き抜いた昔の人はなんと強かったのだろうか。
逆に現代人がいかに不自然で生命力が衰えているかを思い知らされる。
「枕草子」のペイントまとめ
今まで描いた「枕草子」春夏秋冬のイラストをまとめてみました。やはり朝夕の空を描いたものがきれいですね。
春はあけぼの
夏は夜
秋は夕暮れ
冬はつとめて(早朝)
※ あくまでも個人的なイメージなので、異なる場合はご容赦ください。