keepr’s diary(本&モノ&くらし)

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【本の感想】似鳥 鶏「彼女の色に届くまで」


彼女の色に届くまで (角川文庫)

あらすじ

画家を目指す僕こと緑川礼は謎めいた美少女・千坂桜に出会い、彼女の才能に圧倒される。僕は千坂と絵画をめぐる事件に巻き込まれ、その人生は変化していく――。才能をめぐるほろ苦く切ないアートミステリ!(作品紹介文より)

目次

  • 第一章 雨の日、光の帝国で 
  • 第二章 極彩色を越えて 
  • 第三章 持たざる密室 
  • 第四章 噓の真実と真実の噓 
  • 終章  いつか彼女を描くまで

感想

米澤穂信初野晴の学園ミステリーが好きで、以前著者の市立高校シリーズ「理由あって冬に出る」を読んだことがあるが、コミカル・ライト過ぎて今ひとつ自分には合っていないかな、と思った。

本作品は冒頭から読み進むにつれて、内容が意外に繊細でリアル、シリアスなのに驚いた 。

千坂の天才的な絵の才能に驚嘆しながら、彼女とはそもそも素質が違うことに落胆する主人公の内面には、挫折が多い人生を送る人は共感するだろう。確かに「才能をめぐるほろ苦く切ないアートミステリ!」である。

友人マッチョマン風戸は暑苦しいが、主人公の内省的な性格から暗くなりがちな記述を軽いものにしているのが良い。

いくつかの謎解きは、千坂が直感的に一言で言い当て、主人公がそれを説明していくという形で進行するので、なぜ千坂がそう思ったかの説明は十分だと思えない。作者ももちろんそれは承知で、後半で補足しているが、それを読んでもまだスッキリとはしない部分は残る。

ただ本作は、絵画に対する深い知識、千坂の奇矯な行動、主人公と千坂との関係の面白さ、千坂にコンブレックスを持つ主人公の微妙な心の動き、取り上げられることの少ない絵画業界や芸大の製作活動の描写などにも醍醐味があり、自分はさほど不満は残らなかった。

終章の今までの事件の謎解き、ふたりの関係、千坂の人前デビューのラストシーンが心地よく、読後感が良い。あくまでも画廊と芸術家という関係を維持しようと努力するふたりの姿が潔い。

絵画界という狭い世界でのストーリーだが、閉塞感はない。注釈が非常に充実しており、謎解きに関係した絵の画像も掲載されているので専門外でも決してうんざりすることはない。おすすめしたい作品だ。

 

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この作品をおすすめしたい人

  • 深めの学園ミステリーを読みたい人
  • 絵画をテーマにしたミステリーが好きな人

 

著者について

似鳥 鶏(にたどり けい、1981年〜-)は、日本の小説家・推理作家。千葉県生まれ、在住。千葉大学教育学部卒業。北海道大学法科大学院在学中に小説家デビュー。2006年、『理由(わけ)あって冬に出る』で第16回鮎川哲也賞に佳作入選し、2007年に同作品で小説家デビュー。2014年、『昨日まで不思議の校舎』で2014大学読書人大賞の最終候補作となる。

主な作品

市立高校シリーズ
・理由(わけ)あって冬に出る(2007年10月 創元推理文庫)ほか

楓ヶ丘動物園シリーズ
・午後からはワニ日和(2012年3月 文春文庫)ほか

戦力外捜査官シリーズ
・戦力外捜査官 姫デカ・海月千波(2012年9月 河出書房新社 / 2013年10月 河出文庫)ほか
※ 戦力外捜査官シリーズは2014年1月11日〜3月15日、全10話、日本テレビ土曜ドラマ」枠で放送(主演:武井咲

難事件カフェシリーズ
・パティシエの秘密推理 お召し上がりは容疑者から(2013年9月 幻冬舎文庫)【改題】難事件カフェ(2020年4月 光文社文庫)ほか

御子柴シリーズ
シャーロック・ホームズの不均衡(2015年11月 講談社タイガ)ほか

その他
・彼女の色に届くまで(2017年3月 角川書店 / 2020年2月 角川文庫)ほか

※ 著者について・主な作品はフリーの百科事典Wikipedia 似鳥鶏 - Wikipedia を参考にした。

 

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