この間書いた加川良よりデビューは多少早いが、ほぼ同時期のフォーク系歌手に遠藤賢司という人がいます(俳優の遠藤憲一さんではありません。)。
代表作は「カレーライス」。
60年代後半から70年代にかけては、東京の大学生を中心としたブロードサイドフォー、フォーセインツ、森山良子などの「カレッジフォーク」やそれに対峙するような形で生まれ、反戦平和などのメッセージを持った岡林信康、高田渡などの関西フォークが主流で、さらに吉田拓郎、井上陽水、泉谷しげる、さらには荒井由実などの個性を持ったミュージシャンが舞台に上がってくる時代です。
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そうした時代にあって、遠藤賢司は独自の世界を築いていました。
時代の流れを横目で見て、自分の内的世界を築く。自分の世界といっても「神田川」などの四畳半フォーク的な抒情的な貧しさ共感の世界ではなく、(四畳半フォークって、清貧な同棲とかある意味時代を映していました。)、社会から孤立してはいないのだけれど、自分だけの隠れ家を持っていてそこに住んで、外を眺めている感じ。
歌の舞台も「神田川」の四畳半や「赤ちょうちん」の屋台ではなくて、マンションか、アパートだとしても貧しさを前面に出さない。「黄色いカーテンの光がちょうどよく猫と彼女と自分を照らしているような世界」(「猫と僕と君」より)です。
「リリカル」という表現も使われていました(今はあまり聞かないな)。繊細だが少し危ない人という感じもありました。
今の言葉で、オタク、引きこもり、いや違うな。
「内面的にラジカル」という言葉が当てはまるかも知れません。
さて、この人のLPを買ったのは年代から言うと多分、大学の時。調べたらこれでした。
Silver Star BEST OF KENJI ENDO -ベスト盤-
A面:
ほんとだよ▲
夜汽車のブルース
雨あがりのビル街
カレーライス
待ちすぎた僕はとても疲れてしまった
満足できるかな
B面:
猫と僕と君
Hello Goodby
歓喜の歌
気をつけろよベイビー
星空のワルツ
踊ろよベイビ-
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この中で、「夜汽車のブルース」「雨上がりのビル街」「猫と僕と君」「歓喜の歌」「踊ろよベイビー」が好きでした。「歓喜の歌」はあのベートーベンの第九の合唱を題材にして、ばかばかしい、突き抜けた感じが好きでした。
大学のホールでコンサートが開催され、聴きに行ったこともありました。語りはなく、淡々と歌うのが印象的でした。
今回、Amazon Music Unlimitedで改めて聞いてみて、(上のアルバムそのものは入っていませんでしたが、別のアルバムで)なんかすげーなと思いました。
1970年代という時代、空気を感じました。直接的に時代を映していた岡林信康や加川良よりもむしろ。今のように気配り過剰な時代ではなくて、人々がもっと尖っていて、おとなしい日本人なりに自分の主張をもって社会に対峙していた。今思うとそんな気がします。
中でも、「満足できるかな」という曲がすごいと思いました。今の世の中では出せないでしょうね。残酷だからとか言って。アラブを連想してしまうこともあるでしょうね。
聴いていて、突き抜けた感じがすごくよかった。
今の時代、人が気配り、空気とか、人権、コンプライアンスとか、過剰に気にしすぎて窮屈になっている。そんなことも感じました。当時は、まだ、パソコンも、携帯も、当然ネットもなかった! その分人々が今よりはまだおおらかだった気もします。
今の時代、窮屈ですね。
そう思いながら、ネットで書いている自分がいます。
↓遠藤賢司に詳しいことはこちら
↓当時の音楽について詳しいことはこちら
遠藤賢司氏はずっと活動を続けられていましたが、2017年度逝去されました。謹んでお悔やみ申し上げます。
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