keepr’s diary(本&モノ&くらし)

ネット、読書、音楽、散歩、最近はイラストが趣味のおじさんです。趣味、商品、暮らしの疑問、感想を思いつくまま綴ります。

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【本の感想】京極夏彦「巷説百物語」

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著者について

京極 夏彦(きょうごく なつひこ、1963年3月26日 - )は、日本の小説家、妖怪研究家、グラフィックデザイナー、アートディレクター。日本推理作家協会理事長。 世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員(肝煎)、関東水木会会員、東アジア恠異学会会員。「怪談之怪」発起人の一人。
北海道小樽市出身。代表作に『百鬼夜行シリーズ』、『巷説百物語シリーズ』など。

文学賞受賞

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など

巷説百物語シリーズ

舞台は江戸時代末期の天保年間。晴らせぬ恨み、あちら立てればこちらの立たぬ困難な問題を金で請け負い、妖怪になぞらえて解決する小悪党たちの活躍を描く。同じ作者の百鬼夜行シリーズが、妖怪の仕業に見える不思議な事件を科学的・論理的に解明して解決するのに対し、本シリーズは逆に人の心の綾を妖怪の仕業に仕立てることで解決するところに特徴があるといえる。

 

巷説百物語』『続巷説百物語』は、御行の又市らの暗躍を、偶然彼らの仕掛に巻き込まれた後、彼らに深く関わってゆく戯作者志望の若者・山岡百介を中心にして描く。続く『後巷説百物語』では、維新を経て明治に時代が変わり、巷で騒がれる奇妙な事件を解決しようとする4人の男たちと、彼らに知恵を貸す「一白翁」こと山岡百介の昔語りで物語は進む。そして『前巷説百物語』は、山岡百介と出会う前で御行装束を身にまとう以前の又市たちの話である。さらに、又一の悪友である靄船の林蔵の上方での仕掛を描く『西巷説百物語』の連載が終了後、シリーズとしての『怪』においての連載は終了。その後、『幽』と合併新設された『怪と幽』で『遠巷説百物語』が連載中。なお、年代設定は『後巷説』から逆算されたものであり、本来の舞台は漠然とした「江戸時代」として時期を特定せずに描かれている。

以上出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』

 

目次(本書では目録)

  • 小豆洗い(あずきあらい)
  • 白蔵主(はくぞうす)
  • 舞首(まいくび)
  • 芝右衛門狸(しばえもんたぬき)
  • 塩の長司(しおのちょうじ)
  • 柳女(やなぎおんな)
  • 帷子辻(かたびらがつじ)

 

感想

今まで読んだ作品

京極夏彦の作品は「姑獲鳥の夏」から、「狂骨の夢」「魍魎の匣」など、あの分厚い新書版の頃から読んでいる。われながらよく読み通したと思うが、長編はかなり話が長く、語りも長い。

それでも、放り投げずに読み通させるのは、作者の力量で妖怪がらみの話とその謎解きが、中身が濃くて面白いからなのだが、結構話がしつこく、理屈っぽいところは読み手を選ぶ。

読むのに体力が必要なこともあり、しばらく、もう少し軽めのミステリーなどを読んでいたのだが、kindleの口コミでかなり評価が高いので、京極夏彦の時代物シリーズの中、この「巷説百物語」を読み始めた。

京極の時代物は面白い

京極の時代物は初めてだったので、最初の「小豆洗い」は少し戸惑いながら読み始めたのだが、昔好きだった夢枕獏の「キマイラ」シリーズや「魔獣狩り」を彷彿させる、擬音の多用やセンテンスの短い文体は、今まで読んだ長編とは明らかに異なる味わいがあり、好きになった。

ざあざあ。どうどう。しょき。──何だ。異質な音がした。無理に顔を上げる。目の前に男が立っていた。

(「小豆洗い」より)

 

「やつがれ」など、登場人物の江戸言葉の語り口は今の東京標準語にはない小気味の良さと切れがあり、音としても心地よい。

江戸の風物の描写もとてもうまい。臨場感がある。このひと上手。

時代ものということもあり、「姑獲鳥の夏」などの長編のような、くどさ、理屈っぽさもあまりなく、楽しんで読み進める。

目録から

最初から引き込まれたが「芝右衛門狸」あたりから俄然面白くなった。物語が大名まで巻き込んで大きな話になってくる。最初の「小豆洗い」そしてこの「芝右衛門狸」が特に好き。

最後の「帷子辻」もいい。平安時代の皇室にもかかわる悲しい伝説に由来する話だが、舞台となる嵯峨野のあたりは旅で近くに行ったこともある場所で、とても引き込まれた。内容はかなり気持ち悪い部分があり、京極ワールド全開。

関西の仲間が登場して、物語はますます拡がりを見せてくる。

この本をおすすめする人

京極夏彦の作品が好きな人は強くお勧め。特に京極さんの作品を読んだことはあるが分量の長さ、語り口のしつこさに辟易して、その後読むのをあきらめた方。

時代小説が好きな方で、少し毛色の変わったものを読んでみたい方も、読んでみると新しいジャンルが発見できるかもしれない。

最後にこの作品はいわゆる怪奇小説、心霊物語ではないです。念のため。

 


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