keepr’s diary(本&モノ&くらし)

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【本の感想】長浦 京「リボルバー・リリー」


リボルバー・リリー (講談社文庫)

 

あらすじ

関東大震災後の東京で、凄腕の元女スパイと父の隠し財産を狙う集団に家族を殺された少年が、圧倒的な人数の追手を相手に、大正時代の東京を舞台に、逃亡の戦いを繰り広げるノンストップエンターテイメント小説。陸軍、やくざ、内務省など当時の世界情勢と背景にそれぞれの思惑が交錯する。

目次

序 章 赤い空、一 章 隔離の季節、二 章 閃光、三 章 煙の記憶、四 章 蝶、五 章 生者の贖罪、六 章 玉の井、七 章 バニシング─消失─、八 章 硝煙の百合、九 章 九月一日、十 章 ブラフ、十一章 死出の装束、十二章 帝都戦役、十三章 血の輪環、終 章 虹のたもとで

 

感想

kindle unlimited 対象本で、評判が良いが現代ものでないので読みにくいかな、と思いつつ読み始めたら予想外に面白かった。

 

大正時代、大震災後の東京を舞台にしたエンターテイメント小説。なかなか入り込みにくい時代背景だが、スビード感のある展開にぐいぐい引き込まれる。相当長い小説だが読み始めると止まらない。

 

冒頭の関東大震災や主人公リリー(百合)の過去の殺人もサラッと書かれているし、戦闘場面は多いが残虐な描写がないのが良い。

 

全体の30%時点で主要人物が出揃って、さてこれからどう展開していくのだろう期待が募った。折り返し点では出尽くし感があったが、当時の国内や世界情勢がストーリーに関わってきてがぜん面白くなった。


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主人公の来歴が明かされる場面は興味深いし、陸軍、やくざだけでなく内務省など様々な勢力が加わってきて、話が大きくなりワクワクしてきた。特に全体の4分の3のあたりで海軍のY大佐が登場した時は、エッと声を上げてしまった。

荒俣宏さんの「帝都物語」もそうだが大正時代は色々雑然としていて現代にも通じて面白い)

 

残り20%の頃から最後の決戦モードになり悲壮感も漂う。元スパイでピストルの天才の女主人公や紙を武器にする元馬賊の女がやたら強く格好良すぎるのは現実離れしているが、ストーリーに引きつけられるので、ハラハラさせて飽きさせない。大正時代の帝都東京を舞台にした市街戦、ゲリラ戦がグイグイと面白く、著者の知識、筆力に感心した。

 

そのまま、全員生き延びて終わるのかと思ったがそうでもない。最後の方で現実感が出てきた。終わり方も不穏で、全編爽快かと思っていたら違った。だが生き延びて続篇が出るとうれしい。

 

全体として起伏に富んだ長い物語だが、飽きることなく、読後の充実感もあるエンターテインメント小説だ。おすすめしたい。

 

【追記、映画のこと】

読み終わるまで知らなかったが、今年の8月に映画が公開される。主演は綾瀬はるか。似合わないと思ったが映画のホームページを見ると、リリーらしくなっている。さすが、女優さん。

リリー以外の役名は書かれていないので想像だが、弁護士役が長谷川博己、奈加がシシドカフカ(この2人はイメージどおり)、慎太はジャニーズジュニアの子、豊川悦司が国松、阿部サダヲがY大佐。野村萬斎は誰の役だろう。

映画『リボルバーリリー』公式サイト

綾瀬さん演ずる「リリー」のイメージ。たしかにリリーだ!上記ホームページから描きました。


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この作品をおすすめしたい人

  • ともかく面白いエンターテインメントが好きな人
  • 爽快感のある小説を読みたい人
  • 大正時代の大活劇を読みたい人

著者について

長浦 京(ながうら きょう、1967年10月14日、男性)は、日本の小説家、時代小説作家。埼玉県生まれ。法政大学経営学部卒業後。出版社勤務などを経て放送作家。難病闘病の後、2011年、時代小説『赤刃』で、講談社主催の第6回小説現代長編新人賞を受賞。日本そば店に勤務する傍ら、執筆を続けている。

主な作品

 

※ 著者、主な作品は無料の百科事典 長浦京 - Wikipedia  を参考にした

 

 

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