第4話より。テレビ画面を参考に描画
今期のサスペンスドラマの中でキムタクの話題作「教場0」は視聴率が上がらないようだ。毎回指導される刑事役に若手人気俳優が回替わりで出演する贅沢な布陣だが、少し内容が暗いのと、2話完結という展開も見ていて疲れる。
「教場0」HPを参考に描画
一方「ラストマン」は好調のようだ。
福山雅治と大泉洋という仲良しコンビの贅沢なキャストで、福山が盲目のFBI捜査官(皆実広見役)という設定も面白いし、個人的には福山のアシスト役の今田美桜(吾妻ゆうき役)がチャーミングで好感度が高い。ただ、脚本やストーリー展開に少し無理があるのが残念だ。
例えば、第4回の内容は、痴漢冤罪で婚約者を自殺に追い込まれた女性が、復讐のために同じ車両に乗っていた痴漢グループを次々に殺していくというストーリーなのだが、恨みの対象が違うのではないか。誤認にしても故意にしても、被害者の証言が冤罪を生んだのだから、被害者を恨むのが普通なのでは?
婚約者の恨みを晴らすために連続殺人というのも違和感があった。痴漢と殺人では罪の重さが全く違う。
痴漢冤罪被害者の会が痴漢防止スタンプを配布するのも変だし(痴漢冤罪もそもそも痴漢がいるから悪いという理屈らしい)、この脚本を書いた人は痴漢は殺されても仕方がないという思い込みがありそうだ。
痴漢冤罪被害者の会の代表が犯人だったり、自殺した婚約者は実は冤罪ではなく痴漢グループの一員だったとか、痴漢冤罪を否定的に扱う脚本も違和感があった。
女性が訴えれば例え勘違いでも嘘でも逮捕され、無実でも否認すれば留置、勾留で犯罪者と同じ房に20日以上も拘束されるのが実情らしい。推定無罪の原則が守られないおかしな状態が未だに続いているようだ。人権活動家もなぜか動かない。
第5回は食のインフルエンサーがライバルを殺すという内容だが、これも動機に納得感がないし、いきなり「犯人はあなたですね」と、犯人を突き止めるまでの過程を省略しすぎてストーリーに入り込めない。(最後に福山がSNSを映え盛る虚構と切って捨てたのは同感!)
そういえば第3話だったか、唐突に大泉(護道心太朗役)が縛られて犯人に殺されそうな場面になり、これはきっと夢の話だなど思っていたら、現実の話だったのでびっくりしたこともあった。
サスペンスドラマで犯罪の動機と犯人を追い詰める過程に難があるのは致命的だと思うが、それでも見続けるのはやはり福山、大泉コンビの魅力、大泉の演技力、そして今田美桜の爽やかさからだろう。
本ドラマの後半では大泉(護道心太朗)の父が犯人とされる殺人事件に焦点が当てられるようなので、今後は納得感のあるストーリー展開を期待したい。
「ラストマン」HPを参考に描画