今はあまり流行らなくなったが、昔は娘の嫁入りに実家が大きな婚礼箪笥を持たせてくれた。
わが家にも何十年も前に妻が持参した大きな婚礼箪笥があり、かなりのスペースを取っていた。もちろん大きければその分着物も洋服も収納できて役立っているのだが、地震のときに倒れて下敷きになるのも怖く、そもそも部屋が狭くなりレイアウトにも制約ができてしまうので、正直少し邪魔だなとは思っていた。
諸事情あり、それを処分することになった。
婚礼ダンスは2階に和箪笥、洋箪笥が1つずつ置いてある。昔自宅を新築して搬入した際は、2階の窓から吊り上げたのだが、当時と違いフェンスやブロック塀があるので、なかなか難しそう。できるとしても、引っ越しでなく単独で頼めば相当費用がかかりそうだ。
どうしようかなと、市役所で聞いた回収業者に相談すると、2階で解体して回収するとのこと。しかし、あんな大きなものを解体するのは結構大掛かりな作業になり、音もうるさいのではないかと心配だった。
日取りを決めて業者に来てもらい、解体が始まった。最初は和箪笥からだったが、上の開戸を素手で大きく外に開くといきなりバリッと外れたのにはびっくりした。普段かけない方向の力には案外弱いものだ。
なにか荒っぽいが、業者さんにすれば当たり前のことなのだろう。さほど大きな音も建てず扉を次々に開き取り外して運んでいく。解体するツボと順序が頭に入っているのだろうが、さすが専門家だ。
引き出しは階段で運べるので、そのまま回収するようだ。解体作業より階段を上り下りして、バラした板を運ぶ方が大変そう。
人数が多かったこともあり、婚礼ダンス2個を解体して、トラックに積み終わるまで、1時間もかからなかった。費用は最初聞いたとおりで、税込みで2万円ちょっとかかった。
変な話だが、これも終活のひとつ。少しずつ片付いていくのは少し気持ちがいい。