大阪にはたった一年しかいなかったので、地元の人から見ると見当外れかもしれないのでご容赦を。
今振り返ってみれば、大阪は食べものが美味かったこと、おっさんが一人で飲める立ち飲み屋が多かったこと、テレビで見るほど誇張されだコテコテの大阪人はあまりいなかったこと、同じ関西でありながら京都とは仲が悪いことが特に記憶に残っている。
関東生まれの人間としては悔しいが、とにかく大阪は食べものは美味しかった。食文化の深さが違うという感じだろうか。異邦人なのであまりディープな店には入らず、普段食事をしたのは関西ローカルのチェーン店が多かったが、それでも東京、関東と比べると味のグレードが高かったと思う。
まず思い出すのがとんかつチェーンの「KYK」で、よく入ったのは天王寺駅の近くの店。どちらかといえばとんかつは関東発祥という気がするし、東京にはチェーン店では和幸やサボテンなどの専門店もあるのだが、それより、サービス、味は上だったと思う。
最初に「とんかつKYK」に入ったとき、皿に網を乗せ揚げ物を置いてくれるのに感動したような記憶がある。ただ、和幸やサボテンでも同じように盛り付けてあるはずなのに、なぜ感動したのか、今考えると不思議だが、いい印象を持ったのは間違いない。
メニューでは、肉に野菜を挟んだ揚げ物が充実していて、味噌汁の具も、とんかつ屋の定番のしじみ汁だけでなく日替わりで具が変わり、その中でもトマトがとても美味で、関西の食の繊細さや洗練度合いに感服したのだった。
カレーチェーン店の「サンマルコ」(コーヒーチェーン店のサンマルクではない)も、美味しかった。東京で食べていたカレーチェーン店より明らかに質が上で、特にエビフライカレーが絶品だった。当時まだCoCo壱番屋は食べたことがなかったので、比較は難しいのだが、メニュー数、トッピングでは劣るものの、ルーの旨さではサンマルコのほうがうまかったと思う。
後で、サンマルコはKYKのグループだと知り、うまいのはなるほどな、と思ったものだ。天王寺駅前や近鉄デパート、千日前あたりの店でよく食べた。確認すると、とんかつKYK、サンマルコは現在も営業中なのでうれしい。
サンマルコ
谷九、生國魂神社隣の「ふる里」のうどんも忘れられない。大分年数がたった店構えで、カウンターとテーブルと小さな座敷があったろうか。つまみに寿司が3貫乗った皿もセルフで取れたような気がする。行くたびに違ううどんを食べたと思うものの、何を食べたかが思い出せないのだが、適度に柔らかい麺も出汁も具も好みに合っていて、大阪で食べたうどんの中でも一番美味かった。
年季が入った店だったので、もう営業していないかもと思ったが、調べると、あれから20年以上経った現在も元気に営業中でとてもうれしかった。当時もおばあさんの店員が多かったが、今でもそうだと書いてあるので、不思議な気がする。
ふる里(食べログ)
ところで、香川県の方には悪いが讃岐うどんの面の硬さが好きではなく、大阪や博多の柔らかい麺の方が好きなのだが、東京、関東ではうどんは讃岐うどん店に席巻されていて食べられない。かと言って、関東の醤油の濃い汁のうどんもあまり好きではない(蕎麦は関東の汁のほうがいいが)。
自分のような嗜好の人は多いと思うので、讃岐うどんのセルフのシステムはそのままに、柔らかいうどんや蕎麦を提供するチェーンを作れば流行ると思うのだがどんなものだろうか、と前々から思っている。
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