keepr’s diary(本&モノ&くらし)

ネット、読書、音楽、散歩、最近はイラストが趣味のおじさんです。趣味、商品、暮らしの疑問、感想を思いつくまま綴ります。

 【本サイトはアフェリエイト広告を利用しています】

【本の感想】初野 晴「初恋ソムリエ」


初恋ソムリエ (角川文庫)

あらすじ

清水南高校吹奏楽部のハルタとチカを中心にした学園ミステリー「ハルチカシリーズ」の第2作。40年前の若い男女の別れの謎を解く表題作「初恋ソムリエ」など短編4作を収録

目次

  • スプリングラフィ
  • 周波数は77.4MHz
  • アスモデウスの視線
  • 初恋ソムリエ

感想

ハルチカシリーズを再読

米澤穂信の「古典部シリーズ」「小市民シリーズ」とともに学園ミステリーの秀作と評価しているシリーズだが、なぜか感想はまだ書いていなかった。

何年か振りにシリーズ全巻を読み返して、改めてこのシリーズの良さを再認識した。中でも第2作の「初恋ソムリエ」はシリーズで1番気に入っている作品だ。

ハルチカシリーズ全体について

まず、シリーズ全体のストーリーについて触れると、

  • 吹奏楽部が舞台。部員数も満たない弱小の状態から、個性的で才能ある部員を集め、レベルを上げていく
  • ハルタとチカは顧問の草壁先生を巡る三角関係
  • 生徒会長の日野原を始め各部には奇人変人がいる

という設定である。

内容は、

  • 謎解きは面白いく、更に奥があることも。ただ、サラッと書いているのでよく読まないと分からないこともある
  • ツボにはまると物凄くワクワクする
  • 謎解きの直後に話が終わるのことが多いので、感動の余韻に乏しいところがある
  • 各ストーリーのエピローグは凝っていて味がある、多少感情過多
  • ストーリーには辛い、ほろ苦い内容も多い
  • 女の子が男の子にすぐ暴力を振るうのは漫画チックで微笑ましいのだろうだが、今の時代では現実にもありそうで少し不愉快
  • 高校文化部の奇人変人が何人も登場するが、意外に嫌味がなく実はいいヤツが多い

などといったところだろうか。

多少とっつきにくく、癖があるが、はまると病みつきになるシリーズである。

 

初恋ソムリエの各編

個人の好みによるが、自分は第2作の本作がシリーズで一番好きだ。傑作が揃っている。

主要な登場人物が次々に加わり、吹奏楽部が大きく成長していくのも気持ちよく読める原因かも知れない。

 

スプリングラフィ

早朝に音楽室を訪れる春の妖精。プロを目指すクラリネット奏者芹澤が登場するイントロダクション編。

周波数は77.4MHz

さびれたローカルFMのとある番組に惹きつけられるチカとハルタ。地学研究会の鉱石探しに関わる2人のたどり着いた意外な真相。打楽器奏者カイユが登場。

この話、ハートウォームだ。ヘルメットをかぶった和風美女子高生の麻生部長には容姿だけでなく、行動にも惚れてしまう。カイユにも。FM番組に登場する老人たちとDJの掛け合いが面白い。不登校もとりあげられているが、読後感が良い作品だ。

アスモデウスの視線

吹奏楽の優秀校である「藤が崎高校」のあるクラスで起きた頻繁な席替えと担任の吹奏楽部顧問が自宅謹慎をしている謎を探るため、同校に潜入したハルチカ。顧問の教え子である教育実習生から聞いた盗撮事件に隠された謎を解き明かす。

教え子の過去の行動を庇い無言を貫く顧問、彼女の暗い過去と努力、そして最後のどんでん返しに泣かされた。この作品も切なくて少しザラつきはあるが読後感が素晴らしい。

初恋ソムリエ

芹澤の伯母の40年前の初恋に隠された謎を「初恋ソムリエ」朝霧とハルチカが解く。

記憶にある匂いから初恋の真実を見つけ出そうとする朝霧。彼に従うソムリエーヌ娘たちがバカバカしいが、初恋を見極める理論は理屈に合っている気がする。

伯母さんの40年前の初恋は1969年、過激派絡みのストーリー。同時代を生きた自分には、当時の空気感は理解できるが、復讐の手段はあまりにも悲惨。動機や背景は描かれていないのでそれは想像するしかないのだが。

ところでこの作品を読んで亜硝酸ナトリウムが気になり、調べてしまった。

 

keepr.hatenablog.com

 

たしかに毎日おにぎりにまぶせば確実に害はあるのだろう。

いずれにしても、40年経って明かされた淡い初恋の真実は辛い。エスペラント語が登場する文章は宮沢賢治を彷彿させるが、過去の話とはいえ内容は深刻でほろ苦い読後感。最後に芹澤が心を開くのが救い。

 

本作は特に後ろの3編が傑作。シリーズ2作目となり内容が落ち着いてきて、主要人物が次々に登場してくるのもワクワクするのだ。

 

シリーズを通して筆者が号泣したストーリーは、本編「アスモデウスの視線」と「空想オルガン」「千年ジュリエット」(いずれも表題作)。まだ他にもあった気がする。これらについては機会があればまた。

 

このシリーズはキャラクター、文章など多少癖があり、慣れるまでは違和感があるが、慣れると病みつきになる。最初から通しで読むことをおすすめしたい。

 

この作品をおすすめしたい人

  • 明るい学園ミステリーを読みたい人
  • ほろ苦い学園ミステリーを読みたい人
  • 本格的な内容の学園ミステリーを読みたい人
  • 高校時代をやり直したい人
  • ミステリーを読んで感動したい人

著者について

初野 晴(はつの せい、1973年 -)は、日本の小説家、推理作家。静岡県清水市(現・静岡市清水区)出身。法政大学工学部卒業。男性。

主な作品

ハルチカ〉シリーズ

退出ゲーム(2008年10月 角川書店
初恋ソムリエ(2009年10月 角川書店
空想オルガン(2010年9月 角川書店
千年ジュリエット(2012年3月 角川書店
惑星カロン(2015年9月 KADOKAWA
ひとり吹奏楽ハルチカ番外篇(2017年2月 角川文庫)

その他の作品

水の時計(2002年5月 角川書店) 
漆黒の王子(2004年11月 角川書店
1/2の騎士 〜harujion〜(2008年10月 講談社ノベルス
トワイライト・ミュージアム(2009年5月 講談社ノベルス
ノーマジーン(2011年10月 ポプラ社
カマラとアマラの丘(2012年9月 講談社

 

※著者について、主な作品 はフリーの百科事典ウイキペディア 初野晴 - Wikipedia を参考にした

 

【ドラマ】NHK「ちむどんどん」子役時代の感想

f:id:keepr:20220620150948j:image

 

「ちむどんどん」はもう見ていませんが、第2週までの子役時代の感想が書きかけで残っていました。

カムカムエヴリバディロスで、毎回は見ないでいたが、このドラマも面白い。奇想天外な仕掛けが多かったカムカムに比べると正統派か。

子役がかわいい。特に長女良子役の土屋さん。お調子者で子供っぽいニイニよりよほどしっかりしていて、そのくせ、今の子のような生意気な感じもなく、優しい委員長。

ちょうど同世代なのでわかる。確かにあの頃はこういう優しくしっかりした女の子がいた。

今見ても同年代なら恋をしそうだ。今週からは川口春奈が引き継ぐので、イメージを引き継いで欲しい。

【ちむどんどん】の子役/幼少期役まとめ!暢子は稲垣来泉!|【dorama9】

 

ドラマも土屋希乃さんもべた褒めでした。本当に子役時代は良かったですね。

 

【調べてみた】亜硝酸ナトリウムには発がん性があるのか、ないのか?成分表示に含有量の表示を。

初恋ソムリエ

初野晴さんの小説「初恋ソムリエ」を読んで、物語の重要なキーワードに工業塩、「亜硝酸塩」(亜硝酸ナトリウム)というものがあった。ネタバレだが、おにぎりの塩に意図的にこれを使ったため、関係者が癌になってしまうというストーリーだ。


初恋ソムリエ (角川文庫)

 

亜硝酸ナトリウムの摂取には諸説あり

検索してみると、

  • 現在でもハムなどの添加物に使われており、1日の摂取許容量を上まる恐れもあるのであまり採らないほうがいいとする記事、採ってはいけないとする本
  • 1日の摂取許容量は、生涯にわたり毎日摂取し続けても影響が出ないと考えられる1日あたりの量であり、しかもその数値自体がNOEL(無作用量)の100分の1を目安に設定されている小さい値なので、仮に時折数倍上回ったとしても問題はない。あまり気にする必要はない。
    亜硝酸ナトリウムと容易に変わりうる硝酸塩は、ハムなどよりほうれん草などの葉物野菜にはるかに多く含まれているものであり、通常の食べ方をしていれば問題ないとする説もあり

の両論が見つかった。

 

否定的な意見は、ハムなどに亜硝酸ナトリウムを使っていないメーカーやセンセーショナルに扱いたいマスコミなどに多く、あまり気にする必要はなしとする見解は、自社の製品に使っているメーカーや国、中立的な学者などだ。

 

2015年のIARCの発表が混乱の元

話をややこしくしているのが、2002年までは、発がん性について、「ヒトの摂取と発がんリスクとの間に関連があるという証拠はない」としていたWHOが、2015年にWHOの研究機関IARCから「加工肉を毎日50グラム食べると大腸がんのリスクが18%高まる」と言う発表を行ったこと。

ただし、この発表については一部の専門家から疑問が出され、その後、WHOや日本の厚労省から従来の基準の見直しは行われていないようだ。

ただ、この発表を受けて消費者の加工肉に対する需要は一時落ち込み、日本の大手食品メーカーなどでも無添加の製品を発売している。

 

エビデンス

以上について、エビデンスは次のとおり

✅「亜硝酸ナトリウム」についてはFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)において、発がん性について、「ヒトの摂取と発がんリスクとの間に関連があるという証拠はない」(1995年及び2002年の評価)とされている。

http://www.fsc.go.jp/fsciis/questionAndAnswer/show/mob07005000017

✅「亜硝酸ナトリウム」自体は化学物質として劇物指定されているが、食肉の色の保持やボツリヌス菌などの細菌の生育を抑えるため食品添加物として一定基準内の微量※を使用することを厚生労働省が認可している。※ソーセージなどの食肉製品では0.07g/kg(0.007%)

✅一日摂取許容量(ADI)※は、0-0.07mg/kg bw/日(日本医薬品添加剤協会2002年改定)。※生涯にわたり毎日摂取し続けても影響が出ないと考えられる一日あたりの量

http://www.jpec.gr.jp/detail=normal&date=safetydata/a/daa8.html

✅体内で亜硝酸ナトリウムに変わるとされている野菜については、FAO及びWHOの専門家会議(JECFA)の報告書において「野菜が食品として有用であることはよく知られていること及び硝酸塩が野菜の基質の中にあることにより人における硝酸塩の吸収や代謝が影響を受ける可能性があることを考慮すると、野菜の硝酸塩の含有量の限界値を設けることは適当でない旨指摘されている。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/questionAndAnswer/show/mob07015000003

✅国連WHOの研究機関IARCは、2015年に「加工肉を毎日50グラム食べると大腸がんのリスクが18%高まる」として、加工肉を発がん性が明確であるというグループ1に指定。
肉に含まれるヘム鉄は発がん性のあるニトロソアミンの生成を促し、さらに加工肉では亜硝酸ナトリウム硝酸ナトリウムがこれを生成するとしている。

亜硝酸ナトリウム - Wikipedia

 

いろいろ確認して思ったこと

2015年のWHO研究機関の発表が喉に引っかかった小骨のようだ。

それがなければ、WHOや国は厳しすぎるほどの基準で、使用量や摂取許容量を定めているので、普通に食べていればあまり気にすることはないと思えたのだが。

 

ところで、2015年の発表は別にしても、いろいろな意見を読んで、数字でデータが示されている科学的な見解でさえ、さまざまな意見や見方があるのだから、宗教は除くとしても、人文科学や政治、思想についての様々な見方について、どれが正しいのか判断がつかないのは当然かな、と思ってしまった。

まあ、何でも鵜呑みにせず、確認してみることが必要なんだろうな。特にネット情報は。

 

ベーコンの1日摂取量

亜硝酸ナトリウムについて確認してみて、改めて、普段使っているベーコンの裏面の成分表示を見直したのだが、たしかに亜硝酸ナトリウムが使われていると書いてある。


f:id:keepr:20220619135208j:image

ただ、含有量は書いていないので、厚労省の認可基準である加工肉について0.07g/kgの最大値で推測すると50gあたり、0.0035g(3.5mg)が含まれる。

1日摂取許容量は、0-0.07mg/kg bw/日だから、体重50kgとして3.5mgとなる(たまたま同じ値になった)。

つまり、体重が50kgならベーコンの1日摂取許容量は50gで、いつも買っている4連パックのこの製品は1パック40gだから、その位までは確実に安心というところだろう。

最大値で計算したのだが、実際はそこまで使われていないとする記事もあり、実際の含有量は分からない。

 

成分表示に亜硝酸ナトリウムの含有量を明記して欲しい!

1日摂取許容量をきちんと定めて発表しているのだから、含有量は表示してもらいたいし、食の安全、消費者への安心の観点からも必要だと思う。そうすればもっと安心して多くの量を食べられるかもしれない。メーカーにも消費者にもWin-Winではないか。

 

一応の結論

結論としては、亜硝酸ナトリウムに発がん性があるのかないのかはっきりしないが、多量に摂取すると害があるのは確かだ。

上記で計算した体重50kgで1日加工肉50gという値が、WHO研究所の2015年の発表と同じ値なのは、妥当性があるのか、偶然なのかわからないが、個人的には、現状、ベーコン、ハム、ソーセージは合計で1日50gまでを目安にしようと思っている。

1日あたり平均にしてもいいと思うが、年令、健康状況などに応じて、それぞれのリスクに応じて考えるべきだろう。

 

・気になる方は無添加でおいしいと評判の「信州ハム詰め合わせ グリーンマーク お試しセット」もご参考に⇩

 

追記)個人的に次の記事に納得感があった。書かれたのが2015年以降という点も安心できる。

食のリスクは多面的に評価しないと見誤る PartⅡ ~週刊新潮さん、リスク学/栄養学を勉強してから記事にしませんか?~:食の安全と安心を科学する会(SFSS)

加工肉は体に悪い?「ハムは発がん性がある」は本当か [食と健康] All About

 

・参考にさせていただいたその他の記事など

ハム・ベーコン・ソーセージは絶対NG!猛毒の化学物質含有、強い発がん性のおそれも

亜硝酸ナトリウム(発色剤)|避けた方がよい添加物

発色剤(亜硝酸Na)の安全性に問題はないのですか。 | よくあるご質問 | ニッポンハム

「ハムやソーセージは体に悪い」は本当なのか | The New York Times | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

 

 

プライバシーポリシー 免責事項