家族名義の公金受取口座
マイナンバーカードを巡り様々なトラブルが報じられているが、先日は河野大臣がマイナンバーカードと紐づけされる公金受取口座受が家族口座(別人名義)のものが13万あり、登録し直す必要があることを発表した。
マイナンバーとひもづける公金受取口座の登録制度で、家族内で同じ口座を登録した例が多数みつかっている問題をめぐり、河野太郎デジタル相は7日、臨時の記者会見を開いた。河野氏はこうした「家族口座」が少なくとも約13万件確認できたとする調査結果を公表した。本人の口座に登録し直すよう、オンラインで行政サービスが受けられる「マイナポータル」に通知を送るという。また、家族口座以外に、公金受取口座が別の人のマイナンバーに登録されているケースが748件確認されたという。
河野氏は「国民の皆様に安心して公金受取口座の登録を行ってもらい、迅速かつ確実な給付が実現できるよう、引き続き信頼の確保に取り組んでいきたい」と述べた。
マイナンバー「家族口座」は13万件 河野太郎大臣が公表(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース より引用
全て本人名義にする必要はあるのか?
なにか釈然としないので考えてみたが、この件については、公金受取口座は全て本人名義にする仕組みに問題があるのではないか。
現在、児童手当などの給付金は本人でなく世帯主あてに振り込まれるものが多い。そうしたこともあり、親権者名義の口座にしている人が多いのだと思う。
マイナンバーカードで本人名義にしているのは、世帯主に振り込まれるとDV被害者などに給付金が渡らないという事情があるらしい。その理由は理解できるが、別の問題が起こる。
全て本人名義にする理由を詳しく説明してくれないとわからないし、問題点も洗い出した上で進めるべきだったのでは?
子どもの本人名義にする問題点
子どもの給付金を親の口座に入れず、子ども本人の口座に入れることは次のような問題があると思う。
✅ 子どもの預金口座がない場合新たに作る必要がある
✅ 口座を作るために本人確認が必要になり、子ども本人と親権者の本人確認書類や、親権者と子どもの関係を証明する書類が必要で手続きが煩瑣、面倒。親権者が子どもの預金を引き出す場合も同様に面倒そう。
例 三菱UFJファイナンシャルグループ 15歳未満の場合
✅ 子どもが「自分がもらった金」だと言って、保護者の意向を無視して勝手に預金を引き出す。非行を助長する恐れもある。
改善策を!
公金受取口座の指定は今のところ強制ではないが、健康保険証の例を見れば今後義務化される恐れは高い。
そうした中で、全年齢について本人名義とする仕組みは改めた方が良いかもしれない。例えば、公金振込口座の指定は成人のみを対象とすればいい。子どもは大人になったら口座を指定すれば良いのでは。
上に書いたのはちょっとした思いつきだが、頭の良い官僚がたくさんいるのだから、ほかにも、方法は色々考えられるだろう。
マイナンバーカードについては、行政の「IT化推進」という言葉を旗印に、不十分な検討の中でなりふり構わず突っ走っている気がする。制度やシステムの設計がずさんで危なっかしいのだ。
この件に限らず、マイナンバーカードを巡るドタバタは、「理念」「理想」が先走り、失敗する典型的な例かもしれない。結局割りを食うのは国民である。岸田首相は「失敗の本質」を読み直すべきではないか。
「突破力」とかおだてられて、マイナンバーカードを強引に進める河野大臣に対して野党やマスコミから大きな批判が起きないのも大変不思議だ。