阿部サダヲの怪演
3年ぶりに生き返った「復活者」を描くSF風サスペンスドラマだが、主人公に付きまとう警備員佐伯を演ずる阿部サダヲの怪演がすごい。こんなにも不快で、ずる賢くて、怖いキャラは久しぶりに見た。
主人公は、鳩を蹴り殺す佐伯を注意したことから、執拗に付きまとわれる。ありそうな設定でこわい。
佐伯のいやらしさは、狙いを定めた人物に付きまとい徹底的に痛めつけること。人の弱いところを見抜き、徹底的に言葉で攻める。
弱点を責める狡猾な人
人は誰でも弱点がある。それを突かれると言葉に詰まるのは当たり前だ。
例えば、心に秘めた願望、嫉妬、諦め、後悔。人は神ではないのだから、必ず心のうちにはやましいところがある。そうしたことを見抜いて責める。こうした人間に付きまとわれたら、多分逃げとおすか、攻撃して抹殺するしかあるまい。
主人公の場合は、職場での失敗と疎外、ふとした家庭への重荷感。
主人公の妻は夫を亡くした喪失感と罪悪感。こうした人の弱点をついて、もしかしたら自分が間違っているのではないかと自信をなくし不安にさせる。
こうした狡猾な人物には正直敵わない。理屈では太刀打ちできない。
社会全般によくいる人たち
ところで、こうした人の弱点を突く方法は、例えば自己啓発セミナー、宗教など人の心を操る活動や、活動家などが他者を追求する場面でよく使われる。
人が一般にこうあるべきだと信じていること、理想、社会規範、そうしたことが完璧にできている人などいないから、しつこく追及されると自分が間違っているような気にさせられてしまう。
- あなたは精一杯努力していますか?
- 全てを〇〇のために捧げていますか?
- 少しでも心の中に差別意識を持っていませんか?
理想を言われれば、誰でも不完全。不完全なのが当然なのに、誰しもそこを突かれると自信を無くし不安になってしまう。
また、人は生物だから、自分を脅かす可能性のある他者に対して警戒するのは当然だが、それを差別だといって追求する。
肉体を持った人間が神様になれるはずがないのに、こうした人達は自分のことは棚に上げ、人の弱点を責めてくるので気をつけた方がいい。
今後の展開は?
ドラマの話に戻ると、主人公は自殺したのか、殺されたのか。佐伯はどうしているのか。正直不動産のような楽しいドラマではなく、不快感でザワザワするが、阿部サダヲの鬼畜っぶりと今後の展開がとても気になるのだ。
NHKは「鎌倉殿の13人」「正直不動産」「カムカムエヴリバディ」などの素晴らしい傑作ドラマを作る一方、「ちむどんどん」のようなちょっとひどい朝ドラや昨日の安倍元首相襲撃事件のNHKスペシャルのような疑問符が付く番組も放送するので、とても不思議だ。
ちなみに、
- あなたは精一杯生きていますか?
➡ だらだら生きてもいいと思いますよ!人に迷惑かけなければ。 - 全てを〇〇のために捧げていますか?
➡ それ、いつまでたっても、キリがないです! - 心の中に差別意識を持っていませんか?
➡ 誰でもある程度持つ感情。理想主義ほど怖いものはない!
だと思いますよ。
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