【風袋】計りで物を量るときの、その品物の容器・袋箱・上包みなど。(出典:デジタル大辞林)
風袋引き(これも「風袋」!)
料理で使う計量はかり(キッチンスケール)の性能を見ていて「風袋引き(ふうたいびき)」という言葉があり、要するに容器の重さをゼロにして材料の重さだけを表示する機能なのだが、調べてみると、測るものの種類により色々な説明がされているので面白い。
赤ちゃんの体重を測る場合は、毛布やタオルが風袋、食品の場合はトレー、ラップ、袋、瓶などが風袋。キッチンスケールの場合は皿ボールなどの容器が風袋になる。こんなに様々なものを風袋と呼んでいるとは思わなかった。
キッチンスケールの風袋引き
ところで、キッチンスケールの風袋引き(ゼロ表示)の機能は、①最初に容器を乗せて重さを量り、風袋引きボタンを押してゼロにしてから、②食材を乗せると容器を除いた食材の重さが量れるというもの。
一旦、容器を外しても機能は維持される(目盛りはマイナス表示になる)ので食材を乗せるのに便利だ。
食材の入った容器を乗せると自動的に食材のみの重量が表示されるというものではないので、念のため。
現在の科学だと、無機質である容器と有機物の食材を分けて重さをはかることもできるのでは?とも思うが、少なくともキッチンスケールでは無理だろう。
「風袋」と「風体」
似た言葉に「風体(ふうてい)」があるが、こちらは次の意味
【風体】身分や職業をうかがわせるような外見上のようす。身なり。ふうたい。「怪しい―の男」「勤め人らしい―」(出典:デジタル大辞林)
「風袋」の語源
ネットで検索してもなかなか見つからなかったが、恐らく次のことが語源だろう。
昔、薬(和薬、漢方薬)の調合の際、計量のために棹秤(さおばかり)が使われたが、軽くてかさばる原料は風袋と呼ばれる和紙に柿渋を塗った皿にのせて量られた。風袋の重さは15匁(約55グラム)で、乗せたものの重さは量った値からこの重さを引いて計算された。これが風袋引きの元々のかたち。
出典:薬の博物館だよりVol.58 http://www.eisai.co.jp/pdf/museum/information/topics/vol58.pdf