年の瀬に一年を振り返るのは、春夏秋冬という季節の流れや、様々なイベントが一巡する1年というタームが人の不十分な記憶力や認識力にとって手頃だからなのだろうが、それでも1年は長く、去年の1月、2月など年の始めのことはどうしても記憶が薄れてしまう。
記憶に残っているのは1月のバイデンの大統領就任と年末年始にかけての日本のコロナの第3波。年明けで東京の感染者が大幅に増加した時は正直生存の恐怖を感じた。
その後、延期になった東京オリンピックを本当に開催するのかということが大きな関心事になり、5月時点の世論調査では「中止、延期」の意見が8割以上あったのに、前菅首相の強いこだわりで、迷走のあげく結局無観客での開催に。
森会長の交代劇やら組織委員会のずさんな運営、開会式前の演出家「不祥事」もあり、そもそも必要性の低い東京への招致、国立競技場の設計変更、ロゴマークの盗用疑義、マラソン会場への不可解な札幌への変更などで呪われた五輪だった。
マルちゃん大臣も酷かったし、IOCのぼったくり男爵バッハが何か言うたびに炎上。それでもまだ2030年札幌冬季オリンピック招致などと言っている、打たれ強い橋本会長。この人の鈍感さとメンタルには驚嘆し、ある意味尊敬してしまうのだ。
症状が重くても入院できず在宅での死が悲惨で恐怖だった8月のコロナ第5波の原因とオリンピック開催との関係は結局よくわからないが、当時みんなが感じていたように、開催による緊張感の低下が一因であることは間違いあるまい。政府、都は公式にはそのエビデンスはないと否定していても、心理面での影響は大きかったと思う。
開催後はオリンピックを開催して良かったという感想が増え、人々がムードに流されやすいことを改めて実感。喉元過ぎれば熱さを忘れる日本人の特性もあるのだろうか。あれだけテレビ中継して他の番組が見られなければ洗脳もされる。テレビ番組がほとんどオリンピックに乗っ取られた番組表は大衝撃だった。
コロナ第5波が激増しているのに、オリンピック中継でニュース番組枠を減らしたり、ニュース内でもオリンピック関連ばかりだったり、あの狂気とも言える状況は一体何だったのだろう。ニュートラルであるべきマスコミの姿勢としてしようもないなと思った。特にNHKはメインの19時のニュース枠を20分に短縮したり、大河ドラマも休止したり目に余った。
第5波はこれも結局専門家も原因がはっきりと説明できないまま9月になると突然収束し始め、菅首相ももう少し退陣表明を待ったなら色々流れが変わっていたかもしれぬ。そうなると総選挙結果が変わっていたのかも。
しかし、個人的にどういう人かは知らないが、首相としては本当に不適格な人だった。横浜市長選に負けた最後の時期は目が虚ろで鯖のようで見るのも気の毒だったが、こだわりが強い、話を聞かない、説明しない(できない)というのでは首相はおろかリーダーは務まらないだろう。ワクチン接種を進めたことは評価できるが…
自民党の総裁選は面白かった。票読みはみんな好きなのだが、岸田、河野、高市というメンバーが秀逸だったのではないか。河野さんはこれからどうするのか、高市氏は安倍ファミリーでなければ賛同できるかもしれぬがたぶん彼女は冷血だ。
前の首相が酷過ぎたので、岸田さんはだいぶ得しているが、就任後の迅速かつ誤りを改めるのも早い、入国規制、コロナ対策などを見ていると、今までの日本の首相の中では平均点以上を付けられるのかも知れない。これからが重要ではあるが。オミクロン株は軽症だとの情報が先行しているのがなんだか怖いので対策は大変だろう。
ざっと一年振り返ると、やはりコロナ、オリンピックが中心なのだが、記憶に棘があるせいかオリンピックは強い印象は残っておらず幻の出来事だったような気がしてしまう。
来年もコロナ感染の行方と、冬季オリンピックの終わった後の中国・台湾情勢が気になる。1年後には世界が変わっているかもしれぬ。
最後に、結局はテレビニュースに踊らされているだけの自分だと気づかされた。