ここ数日昼どきのワイドショーで取り上げているのが18歳以下に10万円給付の話題。
この話、ごちゃごちゃして論点、ツッコミどころがあり過ぎ、人間の愚かさがあり過ぎで、本当は納税者としては笑えない話題なのだが、実に可笑しい。
その壱
そもそも10月末の衆議院総選挙で公明党が18歳未満一律10万円給付の公約を発表した当時から、有権者の票を集めるためのバラマキだとの批判があり、それは自分も同感でなぜ選挙の時になってから言うの?と思っていた。そもそも、これが第一の問題。
その弐
選挙では自民が安定多数で、自公連立政権が信任された。自民党はバラマキを公約していないが、公明党は特殊な支持母体の政党で、議員数は少数、議席を大きく伸ばした訳でもなく特に国民に支持されたわけでもないのに、選挙で支持されたから公約を実行すると言い出した。
これは支持者以外から見て凄く違和感がある。これが第二の問題。
その参
自民党も無碍にできず困って、多分役人の入れ知恵があり、使途限定販売クーポンと現金を半々にして、バラマキ批判を弱め、経済対策もあるんだよと言い訳を付けて、渋々認めた。そもそもなぜ18歳以下限定なの?少子化対策なら継続的施策にすべき!との批判についてもあまり考えない政治的決着だった。
これが第三の問題。政策的にはこれが一番大きい問題かも知れん。
その四
そもそも少子化対策で今の子供は保育園、義務教育、高校まで学費は無償、医療費もかからない。自分が子育てしていた頃と比べるとかなり恵まれている。これだけ優遇しているのだから、10万円配るのがそんなにいい政策なのか?
これに関して付け加えれば、対象者の所得制限が世帯単位でなく、世帯主の給与というのも公平でないと批判があった。
そのとおりと思うが、この問題について幹事長になったばかりの自民党の茂木氏が、持ち家で世帯収入が900万円の家庭より、1800万円の収入があっても、借家世帯の方が生活が厳しいなど線引きが難しいのでこの基準で良いと「ひるおび!」でコメントしていたが、線引が難しいのはよくわかるが、この例えは明らかに見当違いで、変。ほんとにこの人、東大、ハーバードを出た切れ者と言われる人なのかとあきれてしまった。
横道にそれたが、支給制限の基準が合理的でないのが第四の問題である。
その伍
その後、クーポン支給の事務経費に900億円もの経費がかかることが分かり批判を浴びる。経費の内容を聞けば、そもそもクーポン制自体カネがかかるのに、偽造防止か必要なクーポン券の印刷も自治体ごとにやるんだと。これでは金がかかるのも当たり前。
あまり検討もせず手打ちで決めたいい加減な内容。これが第五の問題。
その六
島田市、太田市がクーポンでなく現金で配る、大阪の松井市長はまとめて一度に10万円配ると言い出して、結局まだ結論は出ないが、現金支給認めるなら、自治体の事務も経費も少なく、もらう方の幸せな大阪の案を認めない理由はない。
報道によれば、くだらん理屈のためにそれが無理そうなのが第六の問題。
その七
そして、これが一番けったいなのだが、あれほどバラマキ批判をしていた、マスコミ、維新その他野党が、一番本質的な政策自体の問題をさし置いて、こうした給付方法についての議論や批判に終始してる。これが第七の問題。あほかいな、松井はんも。
これには苦笑いするしかない。もし、こうした先行きを読んで、制度設計をしたのであれば、深謀遠慮の天才だが、役人の机上の理屈とそれに飛びついた政治家の浅慮に過ぎないのだろう。
自分としては賛成できない仕事でも、命じられ仕事をするうちに目先の仕事の実施に気を取られて、最初の賛成反対はどっちでも良くなることは経験上良くあるが、それと同じである。
反対していた仕事でも続けるうちに仕事そのものの是非よりも、仕事を成功させることに関心が向いて、結局反対が薄れてしまう。まことに人は愚かな生き物です。
そう思いながら、ワイドショーの無邪気な意見を聞いている自分もバカだと思う。