keepr’s diary(本&モノ&くらし)

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【Music 私的感想】加山雄三「旅人よ」~コーラスとメロディ、言葉の完璧な一体感


【EP】加山雄三 「旅人よ/夜空を仰いで」【検聴済】

作詞︰岩谷時子
作曲:弾厚作
リリース:1966年10月(「夜空を仰いで」のカップリング曲)
演奏:加山雄三とザ・ランチャーズ

 

私的感想

先日「私的感想」を書いた園まりの「逢いたくて逢いたくて」(1966年1月リリース)とほぼ同時期になるが、加山雄三の「君といつまでも」が発売されたのが1965年12月。記憶の中では「逢いたくて逢いたくて)より「君といつまでも」の方が少し後のように感じてしまうのは、その後の加山雄三ブームの凄さと、加山雄三の曲調の新しさからだろうか。

 

加山雄三 - Wikipedia から加山雄三の初期のシングル曲を引用すると次のとおりで、改めて加山の才能のすごさを感じる。
※ C/Wはカッブリングウィズ=カップリング曲、当時の呼び方ではB面曲

  • 夜の太陽 (1961年7月)C/W 大学の若大将
  • みんな聞いてる青春 (1962年6月)C/W 色々あるよ
  • 日本一の若大将 (1962年7月)C/W 一人ぼっちの恋
  • 恋は紅いバラ (1965年6月)C/W 君が好きだから
  • 君といつまでも (1965年12月)C/W 夜空の星
  • ブラック・サンド・ビーチ (1965年12月)(インストメンタル)C/W ヴァイオレット・スカイ
  • 蒼い星くず (1966年4月)C/W 夕陽は赤く
  • お嫁においで (1966年6月)C/W アロハ・レイ(さよなら恋人)
  • 霧雨の舗道 (1966年9月)C/W 小さな旅
  • 夜空を仰いで (1966年10月)C/W 旅人よ
  • ジングル・ベル (1966年11月)C/W ぼくのクリスマス
  • まだ見ぬ恋人 (1966年12月)C/W 俺は海の子
  • 二人だけの海 (1967年2月) C/W 愛のすずらん
  • 君のために (1967年5月)C/W 信じてくれよ
  • 別れたあの人 (1967年9月)C/W 灯の下で
  • 幻のアマリリア (1967年12月)C/W 夢の瞳
  • 美しき春 (1968年4月)C/W さよなら又明日
  • ある日渚に (1968年5月)C/W 暗い波

 

「君といつまでも」がヒットした頃、小学校で「しあわせだな〜」というあのセリフが流行っていた事を覚えているが、この大ヒットのおかげでその前の「恋は紅いバラ」あたりも知られるようになった。

しかし、「君といつまでも」「夜空の星」「蒼い星屑」「夕日は赤く」「お嫁においで」「霧雨の舗道」「夜空を仰いで」「旅人よ」まで一年以内に出された曲というのも空前絶後だ。

おまけに曲は今聴いても古臭さがない。

その後も、「まだ見ぬ恋人」「二人だけの海」「君のために」「ある日渚に」など海を題材にした曲のほか、歌謡曲っぽい「別れたあの人」やGS調の「幻のアマリリア」など、多少勢いは衰えるがヒットを飛ばし続ける。

 

さて、「夜空を仰いで」のカップリング曲であった「旅人よ」(レコードジャケットを見るとA面B面の区別はなかったようだ)であるが、自分にとって、加山雄三の曲の中でも特に思い入れのある曲だ。

 

まず、詞がよい

加山雄三弾厚作)の曲づくりは、メロディが先でそれに合わせて詞をつけるという作り方。加山の曲の良さは岩谷時子の洗練された歌詞によるところが大きいと思っているのだが、特にこの曲は言葉から先に作ったのではと疑うほど、格調高い詞と曲が溶け合っている。「やがて深い静寂(しじま)が星を飾るだろう」など、情景ばかりか旅人の心まで思い浮かべられる歌詞には参ってしまう。

そして、曲。短調なのにメロウ

加山雄三の初期の曲は「君といつまでも」「恋は紅いバラ」のような長調の正統派バラードと、「蒼い星屑」「夜空の星」のような短調のビート曲が多い。「旅人よ」は短調だが暖かいメロディで、「霧雨の舗道」、「ブライト・ホーン」(映画「アルプスの若大将」の挿入歌)と同様に切ないがメロウで暖かい雰囲気があり、とても好きだ。

かつ、改めてコード進行を確認すると「たどる瞳輝く」のところでDmでFからE♭(AmだとCからB♭) という当時の歌謡曲では斬新なコード進行だったし、サビの「やがて冬が冷たい~」ではF-B♭-F-C7(C-F-C-G7)という抑制されたメロディでありながら自然に高まり、繰り返しのメロディの後、F-A7(C-E7)で静かに再び短調に戻るというすばらしいメロディの展開だ。

何よりも、コーラスが良い

「旅人よ」は基本的にコーラス前提で作られている曲。「たどる瞳輝く~」の部分のハモリ、「サビの「やがて冬が冷たい(冷たい)、雪を(雪を)~」部分の輪唱的なハモリがとても気持ち良いし、「裏メロ」がわかりやすく、追いかけやすいので、歌うと大変心地よい。

オリジナル曲はランチャーズの重厚な男性コーラスなのだが、この曲が出て少し経った頃、コカコーラのスキー場か山小屋の映像のテレビCMでこの曲が流れ、男女コーラスのハモリの部分がとてもきれいでわかり易く、自分はそれで裏メロを覚え(もしかするとオリジナルとは違うかもしれない)、若い頃、飲み会で会社の先輩と組んで十八番でこの歌を歌った。懐かしいなあ。


唯一無二の世界

この曲には独自の完結した世界を持っており、自分の中ではほぼ同時代のビートルズや日本のフォークミュージック、その後のどんな曲にも代え難い。

同じようなテーマの曲では、フォー・セインツ岸洋子の「希望」、ブロードサイド・フォーの「若者たち」などもあり、どれも良い曲だが、ハーモニーの素晴らしさ、コーラスとメロディ、言葉の完璧な一体感では及ばない。

荒野や草原を行く旅人のイメージでは谷村新司「昴」と共通するところがあるが、「旅人よ」が「厳しい道だが前途がある若者の旅」であるのに対して、昴は「永遠とか死の旅」のイメージだ。聴き比べるとこの曲の若々しさ、みずみずしさが際立つ気がする。


そんなことを思いながら、歌詞字幕付きの歌を聴いているうちに眠ってしまい、夢をみた。

俺は旅をしてきたか?

雪の降る草原を足跡を残しながら歩いてきたか

雪に埋めた思い出があったか

夜の静寂に輝く星を見上げた感動があったか

俺は生きてきたか?

夢の中で誰かにそんなことを問いかけていた気がする。いや、まだまだこれからだな。

 

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旅人よ

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