中国と台湾がTTPに参加の申請をして今後揉めそうだが、TTPと言えば電子書籍の読書家、特に純文学が好きな人にとって残念な思いしかない。
このプログでもしつこく書いているのだが、TTPの発効により著作権が従来の50年から70年になっていまい、電子書籍にできる作品が減ってしまった。
ちょうど没後50年で著作権が切れて、青空文庫で読めるかもしれないと楽しみにしていた三島由紀夫などの作品が当面電子書籍では読めなくなってしまったのだ。
江戸川乱歩や谷崎潤一郎は既に著作権が切れていて、既に公開していた電子書籍には影響はないのだが、谷崎はまだ公開されていなかった作品が多く、公開は中途半端なまま終わっている。
以前、このコラムでも書いたが三島由紀夫の『豊饒の海』がどうしても読みたくなって、老眼のため長年読んでいなかった文庫本を購入したのだが、目が疲れるので、まだ第2巻『奔馬』の途中までしか読めていない。
ところで、紙の本と電子書籍では同じ作品でも読書の感触が異なるような気がする。紙の本は活字が小さく目が疲れるが、物理的な感触があるせいだろうか、その本を読んだ記憶が残る気がする。
電子書籍は簡単に作品を選べてスムーズに読め、活字が大きく読みやすい反面、読んだ記憶という面では薄いようだ。
それぞれメリット、デメリットがあるのは当然だが、老眼の自分にとっては、電子書籍一択。記憶に残りにくいという特徴は再読して面白いというメリットにもなる。
さて、今のところ、TTPから脱退したり、著作権が50年に戻る可能性はほぼないので、次善の策として作者や遺族の意向に関わりなく、電子書籍化がもっと容易になるような仕組みにはできないのだろうか。
高齢者でも大きな活字で容易に読みやすい電子書籍の普及は、高齢化、デジタル化の中では必須の政策に思えるのだが、どうだろうか。
河野、岸田、高市さん、誰でもいいから、それ推進して!