内容の濃かった8月22日の「青天を衝け」
昨日のNHK大河ドラマ「青天を衝け」は見応えがあった。栄一が日本に帰国してから、話を聞くという設定で、徳川慶喜が大阪から江戸に逃げ帰った後の戊辰戦争の話を描いていた。
このような中身の濃い話を伝聞形式で描くことは大変珍しく、凄い設定だ。徳川という敗者の目線で明治維新を描くということから元々あった意図だったのか、放送回数が少ないからなのかは分からないが、内容は面白かった。渋沢新九郎の最後は彼の今までの出番に比べて、やたら悲劇的、英雄的なのが意外だったが。
調べて見ると、新九郎は亡くなった地では英雄のように語り継がれているらしい。
そして、箱館戦争でまだ戦い続けている洋装の渋沢成一郎はかっこよく、同じく洋装の土方歳三は、出番はさぼどなかったがニヒルで成一郎にもまして格好よかった。この2人だけなぜ洋装なのか、多分史実もそうなのだろうが、一体なぜなのだろう。
箱館のこの戦いで土方は壮絶に戦死し、成一郎は生き残るのだが、運命とは全く分からないものだ。
最後のシーンに三井の番頭が出てきて、戦いはこれからという不敵な表情とセリフがあり、今後の展開に胸が踊った。
放送回数が少なすぎる
先週は、パリにいる栄一が日本からの知らせで、大政奉還に始まり、慶喜の大阪城から江戸への帰還などを知る場面だったが、今回以上に内容が濃く、とても1回では無理な内容だった。もう少し放送回数が増やせないものか。
先々週とその前の週はオリンピックで放送休止、再開したと思ったら、来週、再来週はパラリンピックのためまた休みらしい。
明治維新でストーリーが大きく変わる、この大事な時期の放送が中断を挟むのはなんとも残念だ。
先週、今週は久しぶりの放送ならではの期待感や内容が凝縮していて大変面白い内容だったが、本来は毎週見たいドラマである。
そもそも、オリンピック期間中には、NHKは総合、教育テレビともほぼ1日中オリンピック放送をしていたが、こんなに流す必要があったのだろうか。
例えコロナがなく通常に東京オリンピックが開催されたとしても、国民、視聴者の誰もが五輪を見たいわけではない。ましてや5月には8割の国民が中止、延期を望んでいたオリンピック。1日中流す必要はないだろう。コロナが急拡大していたのタイミングだったのにニュースの時間が削られたことも、公共放送としてはいかがなものか。
少なくとも教育テレビで1日中放送する必要はなかったと思う。
パラリンピックを1日中放送する必要はあるのか?
テレビ番組表を見ると、パラリンピック期間中は総合テレビではオリンピックと同じように、試合がある時間帯には1日中パラリンピックの放送があるようだ。さすがに教育テレビはレギュラーでは放送はないようだが。
開催の是非はさておき、開催するならパラリンピックの放送も必要だとは思う。しかし大河ドラマも休止してまで1日中放送する必要はないだろう。視聴率が高い主要なレギュラー番組の時間は総合の裏チャンネルか教育テレビでパラリンピックを放送すればいいのではないか。
パラリンピックの放送は、視聴者のニーズと言うより、障害者の人権、多様性、共生などという(流行りの)理念の普及という目的で必要より多く放送するのだろうが、公共放送だからと理想や理念を押し付けるのは少し怖い、違うかもしれないな、などと思ったりする。