⇧「海」が入っているアルバムです
曲の概要
作詞・作曲:荒木一郎
歌:荒木一郎
発売年月:1968年8月(シングル盤)
荒木一郎を知っていますか
荒木一郎、若い人では知らない人も多いと思う。
1960年代後半のグループサウンズ全盛時代に、加山雄三ほどメジャーではないが、「自作自演歌手」の先駆けとして、「空に星があるように」(1966年)「今夜は踊ろう」(1966年)「いとしのマックス」(1967年)などのヒット曲を出した俳優・ミュージシャンだ。
1969年頃、真偽は分からないが映画撮影で女子高生からわいせつ行為をされたと告発を受けたことから、マスコミからパッシングを受けてしばらく芸能界から遠ざかる。
この件は結局不起訴になり告発自体が疑わしいが、女性からこんな告発があると真偽を確認もせず叩くのは今も昔も変わらない。
好きだった素朴なメロディ
復帰後、音楽、映画などの活動を続け、音楽も渋い大人の曲が多いアルバムを何枚も出しているのだが、自分は60年代の初期の素朴な曲調の歌が好きだ。
もう知っている人は少ないと思うが、当時、雑誌の付録などに付いていた「ソノシート」という赤いビニール製で薄くペラペラした廉価版のレコードがあった。
今で言うとムック本の付録のようなものだろう。当然レコードよりも音質は悪かった。
荒木一郎の曲でも「朝日ソノラマ」という会社からソノシートのアルバムが出されていて、小型の卓上レコードプレーヤーでよく聞いたものだ。
「海」
その「ソノシート」に入っていたかはさだかではないが、彼の曲で「海」という歌がある。
荒木一郎の初期の曲は、歌詞もコード展開も曲調もとても素朴で、中学生だった当時の自分でも作れそうだと思う曲もあったが、妙に心に残る歌が多かった。
この曲もそのひとつ。
先日、Amazon Music で、思いがけずこの「海」の曲を見つけてうれしかったが、曲の懐かしさともに、少年時代の浜辺の情景が浮かび、目頭が潤んでしまった。
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少年時代の海辺の想い出
僕は子供の頃海辺の町に住んでいて、広い砂浜があり、小学生時代に暗くなるまで野球(もどき)をしたりして遊んだものだった。
夕暮れで暗くなり、堤防の脇の電灯にあかりが灯る頃、心配した母が迎えに来てくれたこともある。
だが、小学生のいつ頃からだろうか、その浜辺でバイパスの工事が始まり、遊べなくなった。砂浜が掘り返されて土が積み上がっていく様が異様だった。
工事が終わっても元の浜辺が戻ることはなく、浜は半分になった。潮の流れが変わったせいで、砂浜はさらに狭くなり今は当時の面影はない。
浜辺の夕暮れ灯ともし頃
「海」を聴いた時、夕暮れの浜辺に電灯がともり、一番星が瞬く情景を思い出した。
砂上の楼閣のような道路が開通したのが1967年。「海」が発表されたのが1968年。
歌詞の内容は直接、浜辺の記憶と重なる訳ではないが、当時この曲を耳にした時、狭くなった浜辺のことを思ったことがあったのかもしれない。
「紅の面影は白い波に消えて、冷たく光る夕日に海はさびしく」「過ぎ去りし夏の日、過ぎし日の思い出、今はそよぐ風にひとりたたずむ」という歌詞や、叙情的なメロディに、当時の記憶が重層的に重なり、心を揺さぶられたのだと思う。
荒木一郎の曲にはほかにも好きな曲がたくさんあるが、それについてはまたの機会に。
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ミュージシャン
荒木一郎(1944年1月8日~)は俳優、歌手、作曲家、音楽プロデューサー、実業家、小説家、マジック評論家。東京都出身。代表曲は「空に星があるように」(1966年)「今夜は踊ろう」(1966年)「いとしのマックス」(1967年)「君に捧げるほろ苦いブルース」(1975年)など。
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