keepr’s diary(本&モノ&くらし)

ネット、読書、音楽、散歩が趣味のおじさんです。趣味、商品、暮らしの疑問、感想を思いつくまま綴ります。

【本の感想】沢村鐵「クランⅥ 警視庁内密命組織・最後の任務」


f:id:keepr:20200708125232j:image

あらすじ

首相の緊急事態宣言は発せられたが、警察内部の抵抗は根強い。岩沢は足ヶ瀬を連れて養護施設に行き、園長から足ヶ瀬の出生の秘密を聞き出すが足ヶ瀬は姿を消してします。捜査一課に戻り玉塚公安部長に拘束された晴山と川内は区界の配下の刑事に助けられるが、移動中に裏理事官の襲撃を受ける。上郷は単身ウルゴ研究院の能登玲子と対決する。一方行方不明の足ヶ瀬は神と対決するため渋谷デライトに向かう…(完結)

目次

  • プロローグ――伏竜庵
  • 第一章僉議
  • 第二章侵襲
  • 第三章来襲
  • 第四章廟堂
  • 第五章抗衡
  • 第六章翻倒
  • 第七章正銘
  • エピローグ――無色界

感想

いよいよ最終巻になりました。

今回もいろいろなことが起こり、どんでん返し(これはある程度予想がつきましたが)もありました。

今回も一番目立ったのは上郷かな。この娘最初から存在感があったけど、足ヶ瀬に対する意外な優しさや能登玲子と対決して一歩も惹かない姿勢が格好良すぎました。

女帝は一揖した。「ぜひお顔を拝見したかった。望みが叶って、大変喜ばしい思いです」「こちらこそ。急なお訪ねにもかかわらず、入れていただき恐縮です」(作品より引用。以下同じ)

この人映画、ドラマでやるなら、波瑠、二階堂ふみ吉高由里子がいいかな。全く個人的イメージです。

 

細かいところでおかしかったのが、真滝が初めてクランに参加したとき、晴山がこいつヤクザなのになぜここにいるんだと訝るところ。緊迫した情勢の中でのこんなどうでもいい記述が救いです。

ヤクザは事情通過ぎた。俺はまた我慢できなくなる。お前は何者だ?

 

そして、この作品最後まで明かされない謎が多いのですが、上郷が足ヶ瀬に、生まれたときのことを覚えているか、と尋ねる言葉の意味も未だに謎です。この後で緊急事態が起こり、話はそれっきりになってしまいます。

「生まれた時のことを覚えている?」おかしな質問で返してきた。「私は覚えている。あなたも?」足ヶ瀬直助は両目を見開き、恐ろしく無防備な顔で上郷を見た。

 

岩沢が加茂警備局長を罵倒するところも妙に共感できるセリフでした。

「権力の犬が。生きてて恥ずかしくないのか」私の言葉も月並みだ、怒りを感じた。こんな罵倒では全く足りない。だが加茂には充分の侮辱だったらしい。

 

まあいろいろなことがありすぎたこの巻ですが、一番印象に残っているのが、ラスト前で晴山が上郷と再開する場面です。

すべてが終わったあとの虚しさと、ゴールデンウィークの代々木公園という設定が妙に合っていて、印象に残ります。そして神の軌跡を科学的に解明していきますが、まだ謎は残ります。

 

結局、多くの謎を残して物語が終わるのですが、作者の考えた結末とは何だったのかいつか明かしてほしいですね。

 

神の正体は? 

私も結末の意味、神が誰だったかを考えたのですが、結局良くわかりませんでした。

上郷と晴山との対話の中で消えた4人の警察官のいずれかと言っているので、それは間違いないでしょう。

でも、この対話を再度読み返すと上郷奈津実の態度からして一番示唆されている人物はわかります。

それは、千徳首席監察官。神であるが、自らを倒すクランを率いていた。一番なさそうなことが真相というのはミステリーではよくありますね。

「晴山さん」その時の上郷は、俺が知る中で最も頼りない表情をしていた。「千徳さんは、クランであり、同時に神だった。そう言いたいんですか」語尾が震える。上郷がこんなにも切実に、俺に何か訊くことがあろうとは。

足ヶ瀬巡査か初めてクランのミーティングの参加した時、千徳氏はいなかった。その後も会う機会はない。避けたのでしょう。会えば正体がばれる、消滅?するから。

この場はほぼ、昨日の再現となった。FBI捜査官のダンカン・ワイズと、千徳光宣長官官房首席監察官の姿はまだないが、「今夜、来られる人間は揃ったな。では始める」区界は立ち上がって高らかに言った。「まず、岩沢さんと、噂の若手、足ヶ瀬直助君をお披露目しよう」(3巻第7章)

 

作者の煙幕のダミーでワイズ捜査官、御堂園長の行方不明が作られたような気がします。

デライトでの足ヶ瀬消失の謎はわかりません。上郷がトリックはないと言っているのでないのでしょう。もしかしたら、薄々千徳が神だと気づいていて、トリックには気づいていたものの言わなかったという解釈もありますが、これもわかりません。

上郷が嘘を言っていないとしたらもはやSFの世界、超自然現象というしかない気がします。

 

あくまでも個人的見解です。

読者一人ひとりに考えてもらいたいというのが作者の意図でしょうね 。

今までのストーリー

  1.  【クランⅠ 】渋谷で警察OBの射殺死体が見つかるが、女性検視官の綾織は自殺と判定する。間違った鑑定が多いことを懸念した捜査一課長は部下の晴山に調査を命じる。調査の過程で、晴山は警察の闇組織とそれを追求する秘密組織クランに出会い、クランは綾織の恋人、捜査二課北森殺人の犯人を突き止めるが、その犯人とみられた捜査一課蓑田が拳銃自殺してしまう。
  2. 【クランⅡ】 警視庁内での拳銃自殺について、大混乱の中公安部が調査に乗り出す。一方渋谷で巡査が銃撃された事件を追う岩沢は、渋谷の伝説の組長唐橋に会い「神」の話を聞科される。「クラン」は捜査二課北森の死の真相を突き止めるため、神奈川県警の警部補を追及するが、追いかけた渋谷駅地下で、過激な環境保護団体による毒ガス放出事件に遭遇し、その中で岩沢と晴山は神に出会う。
  3. 【クランⅢ】 渋谷地下の事件で神に出会った晴山と岩沢。クランは公安部の区界を中心に神の正体に近づいていく。岩沢は伝説の組長唐橋から神について新たな事実を知るが、大崎の水族館で新たなテロ事件が起こる。偶然居合わせた足ヶ瀬巡査たちは人質となってしまい、神の命令でSATのスナイパー平津戸足ヶ瀬を狙撃するが、軽傷で助かる。唐橋を殺した黒マントの神を追うクランメンバーは渋谷デライトに神を追い詰めるが、黒マントの男は射殺されていた。
  4. 【クランⅣ】 神を取り逃がしたクランは、分かれて神の正体を追う。岩沢は養護施設で足ヶ瀬巡査の生い立ちを知る。足ヶ瀬たちはソンシの行方を探すが、訪ねた先の研究所で出会った川内係長と黒マントの男を追跡する。晴山と岩沢は事件に関連する拳銃密売人確保に向かうが、神の手先に囚われる。神の指令で渋谷スクランブル交差点にマスク姿の外国人が集まり黒マントの神を撃つが、もうひとりの神に扮した上郷が騒ぎを沈静化する。一方、千徳と洞泉が襲われる…
  5. 【クランⅤ】神の配下の会議で神の代理人能登令子は上郷の秘密を明かしクラン抹殺を指示する。クランで上郷は自らの秘密を明かす。研究院に向かったワイズは兄と能登令子に会う。岩沢は護送中の猪俣助役を奪還し、裏理事官を誘い出すことに成功するが逃げられる。神側の計略により、クランメンバーは渋谷同時多発テロの濡れ衣を着せられ指名手配されるが、上郷たちの向かった先にはある人物が待っていた。

この作品をおすすめする人

  •  楽しくワクワク読書をしたい人
  • 警察小説が好きな人
  • エンターテイメント小説が好きな人
  • ストーリにのめりこんで本を読みたい人
  • 沢村鐵が好きな人

著者と主な作品について

こちらを参照 ↓
keepr.hatenablog.com

 


クランⅥ - 警視庁内密命組織・最後の任務 (中公文庫)

Kindle版はこちら

 

(新しいシリーズはこちら)


極夜1 シャドウファイア 警視庁機動分析捜査官・天埜唯 (祥伝社文庫)

おすすめ!
kindle 200万冊以上が読み放題。

30日の無料体験で、どんな本が読めるか試せます。月額料金980円、いつでもキャンセル可能

プライバシーポリシー 免責事項