keepr’s diary(本&モノ&くらし)

ネット、読書、音楽、散歩が趣味のおじさんです。趣味、商品、暮らしの疑問、感想を思いつくまま綴ります。

【本の感想】芥川龍之介「羅生門」


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あらすじ

平安時代末期の晩秋の雨の夕刻。京都の外れにある羅生門で雨やどりしながら、行く末を思い悩んでいた下人は、死人の毛を抜いている老婆に出会い…

目次

 なし

感想

教科書にも載っている日本文学の代表的作品。いや何が代表的かは人によるので、よく知られている作品だ。

もう何度も読んだが今回改めて読み返してみた。

平安時代の悲惨なイメージと空気が伝わる作品だ。

この時代、地震、火事、飢餓が重ねて起こり、都は乱れて、平安京の南の端(今の京都駅付近)の羅生門は狐狸、盗人の住処になっていたばかりか、門の上に死骸を放置し、カラスがそれをついばみに来るような悲惨な状況。

 

下人も主人から「暇を出され」(この表現いいな)、羅生門の下で途方に暮れ、雨をしのいでいるところから話が始まる。

下人は、何をおいても差当り明日の暮しをどうにかしようとして——云わばどうにもならない事を、どうにかしようとして、とりとめもない考えをたどりながら、さっきから朱雀大路にふる雨の音を、聞くともなく聞いていた(略)

 

この時代生きていくためには、もう盗人になるしかすべがないが、その踏ん切りがつかない下人。そんな時代でも、人の良識はあったのだろう。

女の死体の髪を抜いている老婆を見て、悪に対する怒りを持った下人だが、老婆に対して強い立場の状態で、「餓死をしないために仕方なくするのだ、死体の女も生きているときは仕方なく悪事をしていた」という老婆の言い訳の言葉を聞いて、盗みを行うことを決意する。

下人は、すばやく、老婆の着物を剥ぎとった。それから、足にしがみつこうとする老婆を、手荒く死骸の上へ蹴倒した。

言葉にするとこういうことで解説書でもそのように書いてあるのだが、個人的にはこの心理は実感しづらい。

腐乱する死体の髪を抜くという老婆の行為は醜悪だし、老婆の悪事を正当化する言葉は言い訳にしか聞こえない。そんな状況下で下人が悪事(老婆の服を盗む)を行う決心をするのだろうかと疑問に思う。

むしろ、老婆に対して支配権を得て、自分の力を再認識した状況で、生きていくためには悪事も仕方がない(悪事でない)という老婆の言葉に背中を押されたということだろうか。そちらの方が自分は納得できる。

 

解説書や教科書などでは、下人の心の動きについて解説していたり、試験問題で心理や下人の行く末を考えさせる問題もあるようだ。

ただ、私はそうしたことはあまり考えないで、単に平安時代末期、晩秋の雨の夕刻の荒廃した京都の町はずれの空気や下人が去った後の夜の闇の深さを感じた。

雨は、羅生門をつつんで、遠くから、ざあっと云う音をあつめて来る。夕闇は次第に空を低くして、見上げると、門の屋根が、斜につき出した甍の先に、重たくうす暗い雲を支えている。

 

(老婆は)そうして、そこから、短い白髪を倒にして、門の下を覗きこんだ。外には、ただ、黒洞々たる夜があるばかりである。下人の行方は、誰も知らない。(以上作品より引用)

 

今から見れば凄惨で過酷な時代だか、それでも人はなんだかんだして生き続けていたこと、生き続けるしかなかったことも。

 

そういう読み方でいいと思う。芥川の意図とは違うかもしれないが、本は人それぞれの読み方がある。

 

芥川の作品は短編が多く、それぞれに味わいがあり、今読んでも文章がなぜか古臭くないので((同時代の作家と比べて))とてもおすすめです。

 

この作品をおすすめする人

  • 教科書で読んで当時はよく分からなかつた人
  • 改めて文学部に触れてみたい人
  • 現代の小説に飽きた人
  • 昔、平安時代の雰囲気を味わいたい人
  • 気軽に文学を味わいたい人

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著者について

 芥川 龍之介(あくたがわ りゅうのすけ、1892年〈明治25年〉3月1日 - 1927年〈昭和2年〉7月24日)は、日本の小説家。本名同じ、号は澄江堂主人(ちょうこうどうしゅじん)、俳号は我鬼。

その作品の多くは短編小説である。また、『芋粥』『藪の中』『地獄変』など、『今昔物語集』『宇治拾遺物語』といった古典から題材をとったものが多い。『蜘蛛の糸』『杜子春』といった児童向けの作品も書いている。

主な作品

出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』
 

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