あらすじ
警視庁内で捜査一課蓑田が拳銃自殺、大混乱の中公安部が調査に乗り出す。一方渋谷で巡査が銃撃された事件を追う岩沢は、渋谷の伝説の組長に会い真相にたどり着こうとする。「クラン」は捜査二課北森の死の真相を突き止めるため、神奈川県警の警部補を追及するが、その先で待ち受けるものは…
目次
- プロローグ――不寝番
- 第一章残響
- 第二章密談
- 第三章交錯
- マン・オン・ジ・エッジ5
- 第四章深淵
- 第五章雌雄
- マン・オン・ジ・エッジ6
- 第六章地宮
- エピローグ――無辺際
感想
今回も目まぐるしい展開です。
今回特にワクワクしたのが、捜査支援分析センター上郷奈津実の知能の高さと冷静さ。
「本当に自殺でしょうか」
声が遮った。そのトーンは冷たすぎた。「なに?」耳を疑う。この女にはやはり血が通っていない。俺は確信した
捜査一課蓑田の警視庁内での拳銃自殺という前代未聞の悲劇にさすがの捜査一課幹部も色を失いますが、その中で、上郷は冷静すぎるほど状況を分析。25歳FBIで研修を受けた科学捜査官という設定だが、カッコ良すぎるな。
だが小娘はすんなり前を向いた。「では、鴻谷氏殺害の実行犯を特定するしかなさそうですね」「なに?できるのか」俺は素直に知りたい。この女を凹ませるのにはどんな方法があるのかを
大体こんな女というのは可愛げがなく嫌味なものだが不思議にそんな感じがなく、かわいくさえ思えるのがオジサンとしてはとても不思議。
捜査一課長を交えた会議での、全く物おじしない態度や意表を突く発言、生意気の限りですが憎めない。頼もしい。今は女が頼られる時代だな。
特に神奈川県警のふてぶてしい刑事を相手に、冷静に次々と追い込んでいくところは、スカッとして気分が良くなる。
岩沢が渋谷の伝説の組長に会いに行くのも、割とよくある定番の展開ですが、なんかすげーなという感じ。次に書く真滝もそうだが、本当はいないのだろうが、昔気質の任侠と主人公のつながりという設定もある意味定番だが、胸が躍る。なぜだろうか。不思議です。
蛇足ですが、前回章ごとに主人公が代わるのでわかりにくいと書きましたが、実は主人公の表記を「私」「俺」と使い分けいるのに気が付きました。なるほど。
- 私 = 岩沢
- 俺 = 晴山
もう一人今回よかったのは、六本木の極道の若頭真滝。ヤクザらしからぬ人物だが、今どき希少な任侠で、頼りになる人物のよう。
『物凄く偉そうでしたよ。名乗りもしない。ヤクザのことは人間と見なしてない。虫けら以下ですね』真滝将は言葉の内容とは裏腹に、恨みがましくない。どこか達観した口ぶりだった。若頭としての器の大きさか。「私が送ったわけじゃない。勘弁しろ。本部の判断だ」『いえ。いい勉強になりました。あれが公安なんですねえ。ほんとにヤバい件だと、ああいうのが出て~
特に終盤の登場の仕方はカッコ良すぎるな。
ヤクザだけでなく、公安もFBIも出てきた。凄い。
この回は「神」という言葉が出てきて、警察関係の巨悪と思っていた敵が、さらに強大になったようでストーリーが広がってきた。
これは苦笑してしまったが↓
「上郷?貴様か!」気づいた晴山がビクリとして叫んだ。声が完全に裏返っている。「貴様が神だったのか……!」「晴山さん。幻覚症状が出てますね」
渋谷駅地下で晴山が悲劇に遭遇するシーンで終わったが、この幕切れも次回への余韻と期待度を上げて良い。
おすすめです。
この作品をおすすめしたい人
- 小説を読んで ワクワクしたい人、スカッとしたい人
- 毛色の違った警察小説を読みたい人
- ストーリにのめりこんで読書をしたい人
- 当たり前ですが、クランⅠを読んだ人
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